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お知らせ

精神科グループホーム視察 報告

令和4年4月16日(土)に『株式会社 れいわホワイトナイトホールディングス 訪問看護ステーションアマテラス』さんにて視察を行いました。

今回のテーマは「新しい医療の形と未来への希望」でした。
テーマをもとに各々自分の立場、視点で話し合いを行いましたので報告いたします。
今回の訪問は、コロナ禍を配慮し、最小限の参加者で構成しました。

精神看護領域教育者の立場:秋田 啓次 氏

今回は、グループホームを運営している株式会社を視察訪問しています。

こちらの株式法人では、精神を病む人のグループホームの運営と訪問看護を実施しています。
精神を病む人を指す呼称では、精神病者、精神障碍者など表現しますが、こちらのグループホームで暮らしている方々への総称は、どちらも当てはまらないと考えます。
ですので、精神を病む人という表現を用いました。その理由は、入院患者では退院することが目標ですし、外来患者では傷病を治すことがその目標となります。 
しかしグループホームという名前の住まいに暮らしている方々を傷病者と呼ぶのがふさわしいかどうか迷い、現実として精神面の治療を受けている方々ですが、暮らしを支援する立場としてこのように表現しました。
すなわち傷病管理ではなく、生活管理を行っているということと考えます。

精神保健医療の在宅促進を考える会である、当精考会の方針である、精神障碍者の地域移行・地域定着に合致していると思うのです。
こちらの株式会社では、医療でないのに看護師が従事しているという医療サイドからみるととても珍しい形態であるのです。
そのようなわけで、私の方から懇願し、関わらせていただいております。
これからの医療の在り方は、コロナ禍により促進された、オンライン診療、訪問診療・訪問看護へシフトしていくのではないかと考えます。

2000年に始まった介護保険では、生活介護という言葉が生まれ、介護の担い手不足の補填のためもありヘルパー2級取得する厚労省からの委託訓練も始まりました。
訪問の使命は孤独死する老人を助けること、精神を患う人への社会的支援、医学の進歩に伴い大人の発達障碍者も増加し、現在ではヤングケアラーの問題など多岐にわたり必要な社会的支援の担い手です。
消費税は社会保障と教育費に充てられるという公約で当初3%から10%に増加したこともあり、教育については奨学金の充実等、その効果があります。
依然続いている少子高齢社会にあっては、なお納税者を増やさなければならない状況もあります。精神を患っている人の人生を取り戻すためにも地域移行し社会参加する。
これは医療だけでは力不足です、あくまでも病院は病気を治すところです。そこから先は株式会社を含めた社会資源に依存して良いと思います。

そこで「生活医療」を提案したいのです。
入院は退院が目的となり、通院は傷病治癒がその目的です。
社会で暮らす人々は、傷病も寛解しているからこそ社会参加でき、社会生活の取り戻すという日常生活が進行中の人々を対象としています。
病気を治すことではなく、人生の主人公としてどうしていきたいか、どうなりたいかという自主性が入ってくるのです。
医療は生活の一部分であり、「健全な生活づくり」が対象を救える意義になります。
そのため人生をあきらめず、「希望を届ける」訪問を展開したいと思います。
そのためにナイチンゲールの名言である「健康づくりの芸術である看護」が社会資源の専門家であるソーシャルワーカーと連携することが必要です。
努力し挑戦できる世界観が希望と共に生活の中に生まれてくるように支援の輪を広げることが将来の医療の在り方になるように活動をしていきたいと思っています。

経営管理者の立場:中尾 氏

本社は、2003年創業、美容事業でスタートしました。そして2019年から福祉事業へ参入しました。
精神及び知的障碍者のグループホームを設立して運営しています。2020年12月に訪問看護事業を立ち上げ、就労支援も立ち上げました。
精神領域の生活基盤の全てをみている会社となりました。24時間ではないが、朝食から夕食までの時間帯を福祉事業部と訪問事業部で生活支援の関わりを持ってフォローしています。

また、保護猫に対する事業として、グループホームでアニマルセラピーも行っています。
生命的交渉感のある支援を展開していますと同時に、少しではありますが、社会貢献を視野に入れた取り組みを考えています。
利用者のみなさんで一緒に暮らす仲間がいるということの意義は大変大きく、広報部の社員とのつながりも良い意味で社会的な刺激となっていると思っています。また傷ついた猫の心もケアされています。

精神看護領域教育者の立場:秋田 氏

美と健康は相関関係にあると思います。美を意識している人は、自ずと生活も整い、衣食住についても考えて行動しているものです。
また、健康を意識すると、自然に心身ともに整い、姿勢が良くなるように日常も正常化していくと考えています。
このように、美と健康は切れない関係にあるため、美容を業とする会社ですが、健康の側面にも関心を寄せ、社会に貢献されているのではないかと思っています。

現在私は、主として在宅医療を展開している医療法人で、学校法人の取得と看護関連の学校設立を業としています。
元々大学教員でしたので、看護教育の3つのポリシーについていろいろ考える機会に恵まれました。いわゆるアドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシーです。

顧問をしていた慢性期の病院で、絶え間ないナースコール対応に追われた経験をしました。
例えば自殺未遂で入院された患者は、お酢というプラセボで不調が改善するというものでしたから、絶え間ないナースコールに看護要員たちはうんざりしていました。
なんとかならないかと考えると以下のような発想の転換ができました。
自殺未遂の患者がナースコールで呼ぶのは、生きようとしていることになる、これはこの病棟の看護のたまものではないか。
死にたいと考えた患者が生きようとしてナースコールをしてくることは、看護によって患者を肯定的に変化させたのではないかと。
そこで看護の方針を考えました。希望を届ける看護を展開する事とナースコールに感謝できる看護師を育成することです。

就労支援の立場:岡本 氏

グループホーム、訪問看護との連携の重要性については、以下の2点について重要と考えます。
1. 就労・職場定着に生活・医療の安定は非常に重要であること。
2. 一方、疾患や家庭環境などの影響により、まず生活が安定していない、家庭が安心の場になり得ないケースも多い現状があり、社会生活維持のためにもグループホームに象徴される住まい確保は必須の重要課題であると考えています。

次に、多職種連携のニーズについてですが、医療を基盤としていない弊社のような就労系に特化した企業は、生活面や医療面に単独では対処しきれない問題が山積しています。
昨今は多職種連携が重要視され、福祉では連携による報酬加算なども設定されてきたので、医療以外の法人の参入できる環境整備が整ってきた印象があります。
“住みたい所に住む”自由について、就労という人生の方向性を決める岐路で、”住みたい場所に住む”ことを考えた際に、疾患を抱えて一人暮らしを完結することへの不自由さや不安を感じる事が多いことも避けて通れない現実です。
グループホームや訪問看護および介護は、それらを緩和する大きな可能性があり、是非連携したいと痛感しています。

福祉と医療の方向性の違いと、それによる専門家集団でのチーム的な支援について、医療は心身の機能の回復を最優先し、福祉はその人の社会的な幸せを最優先するため、就労・定着という社会生活への移行時に方向性が違うこともあると思います。
医療は保守的にならざるを得ないため、チャレンジングや社会的な希望を抑制されることも多いと思います。
「株式が医療・福祉をやっている」というだけで偏見に遭う事もあると思うのですが、その中でも誠実にやっていく事で、先進的な専門的高みを目指せると考えられます。
そういった集団でチーム支援を行う事で「今」のニーズに応じた支援が出来るのではないかと考えさせられました。

脳神経外科看護の立場:鎌谷 氏

2025年問題によって医療従事者の減少と高齢患者様への対応が医療現場で求められてくると思います。
段階の世代と呼ばれている人々の特徴のひとつとてして、若年からの喫煙習慣のある世代ということが挙がります。そのため肺疾患や、生活習慣病へのリスクが増してくると思います。

一方この世代の人々は、パソコンやスマートフォンが使えるという強みのある高齢者だと思います。
昨今コロナ流行下にて病院ではWeb面会等が増えてきています。
その中で段階世代に対しては、予防の観点からウェアラブルデバイスを用いたスマートヘルスケアや、タブレットを活用したオンライン診療・問診を医療に組み込んで関わることが必要です。
この取り組みが医療現場の人手不足への問題解決への掛橋となると考えているのです。

最新機器を使用する医療現場では、最新機器の使用法の説明用リーフレット作りやスキルを学べる場の提供を他職種と地域に密着して実施しなければいけないと思います。
又、医療従事者が使用していく上での標準化や共通評価の必要性も考慮し、例えば点数化が求められると思います。
段階世代以外の世代に関しては、70歳以上の方には「まだまだ自分は大丈夫」と考えている方もいました。
その方々に対して、リハビリやデイサービスに参加してもらうこと、又、自尊心を傷付けない関わりが必要になってくると思います。

精神看護領域教育者の立場:秋田 氏

これからの医療の在り方は、深夜開業や休日開業等もありますが、在宅医療やオンラインクリニックが主流となるのではないでしょうか。
そのため、視力の減退のある高齢者にも対応できるICT環境の整備が喫緊の課題化と思います。

例えば、テレビのオンライン診療用のチャンネルがある。
初診時に得たシリアルナンバーを入力してインストールすると、そのクリニックのオンラインスイッチがチャンネルに登録される等々、新しい発想も必要ですね。
デイケアのカラオケ大会などのレクレーションもテレビで参加できると対象が拡大するでしょう。
財源は医療費の分配、特に人件費に係る費用の分配で賄えばよいのではないでしょうか。

希望パスを考案したいと思い考えました。
この時点から未来の自分のライフワークを可視化できる目標スケールと情報パネルです。
3段階に分けた進歩する目標を入力すれば、必要な情報がインターネットを介して収集できるというシステムです。
入院治療をしていないグループホームの住人への支援は、医療の一端を担うだけでなく、生活全般いわゆるその人のライフにかかわることから避けられません。
その時に将来の目標支援ができれば、希望を届けることにつながるのではないかと考えたのです。

医療ソーシャルワークの立場:橘田 氏

福祉医療は保守的であり、企業に比べて後手になっています。
そして、前例がなければなかなか進めない現状があります。
しかしコロナ禍が後押しして、福祉施設にもWEB面会や見学会など新しいチャレンジが求められてきました。
一足遅れている福祉関係も、1番初めに前例を作る必要があると思います。出る杭も突き抜けたら打たれない(笑)。

医療主導型の我が国の福祉は、慣例に従い、医療からの指示を守ることに注力し、無意識に職員目線になっているのが現場であるため、利用者目線や利用者個々の立場で考える方向にシフトチェンジすることも大事です。
利用者は、デイサービスを仕事の場、憩いの場、学校など様々な思いで参加しています。出勤や出席すると言う義務感から参加している方もあります。
認知症があるからではなく、発想の転換で、同じことを何回も言ってくれることに感謝すること。
そして、気持ちを伝える、教育も指導ではなく伝えることがテーマでもあると思って対応に心がけています。

社会企業の立場:山下 氏

希望を「見せる」ことは重要です。
見えないだけに、何かの形で希望の在り方や追いかけ方などを見せることは可能だと思います。
弊社は、ホームページ作成・維持・管理を主として業にしている会社組織ですが、数字を追いかけるだけではなく、仲間がいて、仕事があって、希望があってという組織に成長することが必要だと感じます。
そのために地元の人と切磋琢磨して勉強会など企画し、地元で共生しています。

また、会社組織は教育組織であるとも思っています。会社組織を土壌として成長し、自律していくことがやりがいに繋がるのではないでしょうか。
組織内において相互に成長するためには、正しい褒め方をすることが重要です。
褒めることを求められるのはおかしいと思います。

中小企業は連携が大切です、自分が勝つだけではいけないと思います。
企業の風土により育てられ、自分が企業と共に変わってきている、自分でも変えてきている、という感覚が必要だと思っています。

訪問現場の立場:佐藤 氏

看護師をして30年となります、その間、在宅、病院、施設と看護体験をしました。
在宅医療では人を大事にしています。
どんな看護師がどんな人に出会うかによってそこから先の人生が変わってしまうこともあります。
直接話して、温度を感じて頂くことが重要です。
医療現場では見過ごされがちな生活を視点とした部分や健康な部分を看護師は見つけることができます。その分、責任も重大です。

病院や施設と異なり、周りに医師や先輩看護師や他の看護師がいません。
すべて自身で判断しなければなりませんが、自立して対象を思いやることができ、そのことはやりがいになっています。
在宅医療では、看護の質が重要であり、看護師の質が求められる。医療、介護、精神と幅広くスキルや知識が求められます。

私達、在宅看護師は、少しでも長く在宅生活が安全にすこやかに暮らせる事を目標に看護を行う事が大切です。
また、家族様との関わりが重要で、在宅看護師はコミュニケーションスキルも必要です。ご利用者様の人生の最後にも関わらせてもらえる責任のある立場であると思っています。

精神看護領域教育者の立場:秋田 氏

新しいことは進んでいく。
しかも少年のころの未来図も本当に現実となっているほど速い速度で、進むというより変化をしています。ついていくのに息が切れそうなほどの変化です。

一番変化が緩徐である医療というヒューマンサービスにおいてもめまぐるしく変化しています。
そのような中でどのようにして希望を届けるのか、どのような希望を届けるのか、形のない希望という概念をどのように扱えるのか。
例えば希望パスにより可視化して励みにする等を考え進歩を促進していかなければヒューマンサービスの限界に達しかねません。(希望パスはこちら

現代社会の在り方が作り出したといっても過言ではない「うつ」は、脳機能として希望を作れないという病気であり、将来・未来が肯定できない又は現在を喜ぶことができず楽しめない、楽しむ脳の機能が働かないと仮定すると、希望を届ける看護師や介護職員の存在は、その対象が傷病者のみならず何よりも重要です。
これからの精考会の役割は、偏見や危険視思想の払しょくだけではなく、希望を届けられるような人材への教育及び病める人々への情報提供なども必要であると痛感致しました。

第29回精考会支部大阪大会 報告

令和元年10月25日(金)に第29回 精考会支部大阪大会を開催いたしました。

今回は、中京学院大学 精神看護学分野の准教授/精考会 主宰の秋田啓次先生にお越しいただき、ご講演をしていただきました。

講演のテーマは「精神病が治るということ」

講師:秋田 啓次 先生より

人がこの世に生を受けたことには、尊い意味があると思います。  

何らかの脳の機能の働き不足で精神を患うことになったことにも、深い意味があるように思えます。
誰かが病むことにより、その病の原因究明と治療法が開発されるのです。

その人の人生を歩めるのは、他者ではなくその人自身です。
すなわち、人生自分が主人公なのです。

 

病魔の影響により自身の人生に自信を無くすことで、社会的にも停滞します。
これをセルフスティグマといいます。

病魔が原因で脳の機能不足が起き、停滞があるときにこそ、人という生き物の特徴を生かして支えあうべきです。

その時こそ、その人らしさという人生を取り戻す支援をし合うことも、相互扶助という人間独自のシステムだと思います。
その時に対象の過去最高レベルを想定しながら、どうなりたいかを引き出し、当事者の強みに注目し、活かしながらその後をイメージすることが必要です。
そういった意味では、拒否することや断ることができるのも当事者の強みです。

 

人それぞれ、人生いろいろ。

一般モデルを意識するのではなく、当事者ご本人のその後をイメージできるようなかかわりが必要だと痛感するのです。

第6回 日本「祈りと救いとこころ」学会 開催のご案内

精考会主宰である秋田 啓次教授(中京学院大学 精神看護学分野 准教授)もご出席されます。また、精考会メンバーの安田 美彌子教授(鳥取看護大学 精神看護学)は13時からの「精神科医療におけるマインドフルネスの可能性」に座長として登壇されます。

ご興味のある方は、この機会にぜひ奮ってご参加ください。

第6回 日本「祈りと救いとこころ」学会

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テーマ「医療と宗教」~マインドフルネス瞑想と祈り~
日時:2019年11月9日(土)9:55~17:50 (受付開始9:00~)
会場:ホテルメトロポリタン 富士の間AB(3F)ほか
住所:〒171-8505 東京都豊島区西池袋1-6-1

参加費:
【会員】事前 / 2,000円 当日 / 3,000円
【一般】事前 / 3,000円 当日 / 4,000円
【学生】事前 / 1,000円 当日 / 2,000円
【懇親会参加】上記金額 + 2,000円

プログラム

10:00~10:30 「仏教と医療の協力 – 宗教を警戒する日本社会においての期待」
【講師】ケネス田中(武蔵野大学)
【座長】榎本 稔(榎本クリニック)

10:35~11:30 「マインドフルネス ― 基礎と発展」
【講師】越川 房子(早稲田大学)
【座長】張 賢徳(帝京大学)

13:00~14:00 「精神科医療におけるマインドフルネスの可能性」
【講師】川野 泰周(臨済宗建長寺派林香寺/RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック)
【座長】安田 美彌子(鳥取看護大学)

14:10~16:10 「医療と宗教~マインドフルネス瞑想と祈り~」
【シンポジスト】
・宮﨑 幸枝(みやざきホスピタル)
・川野 泰周(臨済宗建長寺派林香寺/RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック)
・白井 幸子(ルーテル学院大学)
・大下 大圓(高野山真言宗飛騨千光寺/臨床瞑想法教育研究所)
【座長】
島薗 進(上智大学グリーフケア研究所/東京大学)

16:20~17:50 公開講座(参加費無料)「『やめられない』を卒業しましょう~あらゆる『依存症』をたちきるブッダの智慧~」
【講師】アルボムッレ・スマナサーラ(スリランカ上座仏教)
【座長】ケネス田中(武蔵野大学)

お問い合わせ先:学会事務局 03-3982-5345

事前申し込み締め切りは9月30日(月)となっております。

詳しくは 日本「祈りと救いとこころ」学会のホームページをご覧になってください。
日本「祈りと救いとこころ」学会 ホームページ

第5回 日本「祈りと救いとこころ」学会 開催のご案内

鳥取看護大学 精神看護学の教授であり、精考会のメンバーとしても活動されている安田 美彌子教授の講演会が開催されます。

第5回 日本「祈りと救いとこころ」学会 「祈りの原点・山陰」

SKM_C224e18073013310のサムネイル日時:2018年10月6日(土)
会場:鳥取看護大学 シグナスホール ほか
住所:〒682-0013 鳥取県倉吉市福庭854
参加費:
【会員】事前 / 2,000円 当日 / 3,000円
【一般】事前 / 3,000円 当日 / 4,000円
【学生】事前 / 1,000円 当日 / 2,000円
【懇親会参加】上記金額 + 2,000円

 

プログラム

09:30~10:00 「看護と祈り」
講師:安田 美彌子 / 座長:張 賢徳

10:10~11:10 「山陰の祈りの原点-古事記外伝イズモクロニクル-」
講師:多羅尾 整治 / 座長:荒井 優

11:20~12:20 「看護教育における祈り」
講師:近田 敬子 / 座長:田中 響

13:05~14:05 「日本人の死生観」
講師:島薗 進 / 座長:安田 美彌子

14:15~16:15 「看護と祈り-看取る力、寄り添う力を育む-」
座長:渡辺 憲 ・ 小村 三千代
シンポジスト:玉置 妙憂 ・ 足立 誠司 ・ 宮本 優子 ・ 渡邊 太

16:25~17:55 公開講座(参加費無料)「芸術と祈り-創作活動の現場から-」
講師:山本 眞輔 / 座長:榎本 稔

———————

 

お問い合わせはこちらまで。

Tel:03-3982-5345

 

事前申し込み締め切りは9月22日(土)となっております。

ご興味のある方は、この機会にぜひ奮ってご参加ください。

第25回精考会支部大阪大会 報告

平成30年2月23日(金)に第25回 精考会支部大阪大会を開催いたしました。

講演内容

講師:秋田 啓次 先生(姫路獨協大学精神看護学分野 / リスクマネージャー)

「統合失調症のリアリティ」

感想

統合失調症のリアリティと題して、統合失調症を患った人々に、いったいどのようなことが起きているのかを学びました。

冒頭に、バーチャルハルシネーションを通して青年期の統合失調症の前駆症状を知り、そのあとにヤスパースの理論である限界性自我意識の障害からわかりやすく学びました。人の眼が必要以上に気になるとか、水道の音が耳について不快な状況を超えてイライラするとか、何かをしようとすると緊張してできなくなる等の体験は日常でもありそうです。
また、度を越した勘違いも時にはあるかもしれないと思いました。

人という個体は、一枚の皮で閉じられている。自我もその人独自で、外界から閉じられている。その境界が何らかの原因で破たんすると、外界と交通するために自己と他者との境界があいまいになる。それは時制とも交通し、過去(記憶)・現在・未来(思考)との境界もあいまいになり、様々な症状が起こるのだということがわかりました。
他人ごとではない気がします。疲労や精神面のストレスが過剰に大きい時、自分自身でないような感覚になることも納得できました。

症状には陽性症状と陰性症状があることもよくわかりました。陽性症状には薬物が効果があり、陰性症状にはリハビリテーションが必要だと学びました。

これらのことを十分に認識して精神病者への対応に気を付け、また自分でも心のコントロールをしていきたいと思いました。

第25回精考会支部東京大会 報告

平成30年2月2日(金)に第25回 精考会支部東京大会を開催いたしました。

東京池袋にある株式会社NSTグローバリストの会議室を無料で提供していただき、1年7ヵ月ぶりに精考会支部東京大会が開催できました。

無料で会場を提供していただいた会社の皆様、ご協力をいただいた当会事務局の皆様、お忙しい中ご参加くださいました皆様、遠方からボランティアで講演していただいた先生方、本当にありがとうございました。

当日は関西からの参加者からの声で、榎本クリニックも見学できました。
デイケアだけの精神科医療、地域精神保健センター構想、何もかも素晴らしい!の一言でした。ご案内くださいました理事長の榎本先生、お忙しい中本当にありがとうございました。

 

 

第1部「精神科医療と弁証法」

精考会主宰 リスクマネージャー:秋田啓次先生

1部は精神科医療と弁証法についてのお話がありました。
ヘーゲルの弁証法についてわかりやすく説明してもらえ、主観の正論と客観の反論を双方受け入れ融合することにより、一層高次の統合された考えに至る。理性の成長につながる。精神科治療場面では、当事者のモチベーションが向上する。人間的で素晴らしいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

第2部「東洋医療と弁証法」

ホリスティックセラピスト 三木鍼灸院院長:三木正則先生

2部では東洋医学と弁証法について詳しいお話が聞けました。
なんとなくわかっていそうでその実わからない東洋医学がこの弁証法の上に成立していることを知り、もう少し自身の健康や日常を東洋医学的に関心を持って考えたいと感じました。

 

 

 

 

 

 


 

久々の東京開催、東京近郊だけでなく遠くは鳥取から飛行機で、新幹線で兵庫から、飛行機で大阪から参加された皆様と終了後の懇親会も盛り上がりました。今回支部長がインフルエンザで参加できなかったので残念でしたが、とても有意義な時間でした。

 

第5回精考会支部岡山 報告

平成29年12月14日(金)に第5回 精考会支部岡山大会を開催いたしました。

この度は、過去にうつ病を患いながらも無事に乗り越え、現在も活動的にお仕事に取り組まれている古賀 千恵子氏にお越しいただきました。
テーマは「私のうつ病体験」

 

講師紹介


講師:古賀 千恵子 氏

1999年、私生活も仕事も充実していた中、突然うつ病を患ってしまう。
今まで普通に出来ていたことが、ある日突然に出来なくなってしまうことに戸惑いつつも、周りの人々やクリニックの担当医に支えられながら無事にうつ病を克服。
辛い闘病生活の中で、支えてくれる人が居てくれることや、”捨てる”ことの大切さを学んだという。

現在はオフィスKOGAの代表として、積極的に活動に取り組まれている。

 

グループディスカッション

今回は講演の後に『もし家族や身近な人がうつ病になったら?』というテーマでグループディスカッションを行いました。

 

話し合いの後、各グループで出た意見をまとめて発表していただいたのですが、『話しやすい環境を作る』『うつ病を知る』『自分が明るくすることで相手も一緒に巻き込んでしまう』『見守る』など、グループごとで様々な意見が飛び交いました。

 

まとめ:精考会主宰 秋田 啓次 氏

今回の岡山大会では、うつ病を患った体験を勇気をもって語っていただけるというとても貴重な講演会でした。
うつ病になっていく経過や回復のプロセス、うつ病という体験から学び取られた回復の要因や、再発予防に繋がる日常の要因など、学んだとおりの経過だと実感しながら拝聴しました。

うつ病を予防するために大切な5つの項目


①日光
②ご飯
③ま、いいか!
④ある日突然に
⑤脳は心と体の司令塔

①日光
太陽の光は、人の1日の周期であるサーカディアンリズムを調整してくれます。忙しいことを理由にせず、内勤だけの人もお昼休みくらいは太陽の光に当たる、少し早めに起きてカーテンを引いて日光浴をするなど、太陽の光を浴びることが必要です。
その結果、きちんと睡眠がとれ、脳を休めることができます。

 

②ご飯
忙しくてもご飯を食べることが大切です。ごはんには、必須アミノ酸の中のトリプトファンが多く含まれます。この必須アミノ酸は体内で合成されないため、食品から摂る必要があります。トリプトファンは、うつ病に深い関係のある脳内物質セロトニンの原料となるのです。
その結果、脳に栄養が行き届き、脳の機能が円滑になります。

 

③ま、いいか!
うつ病に親和性の高い病前性格は「まじめ」「完璧主義」「がんこ」「潔癖」等々・・・どちらかというと、きちんとした人である印象が強い性格ですね。このような性格の人は、その性分のために大雑把な人より多くのエネルギーを消費していると考えられます。その結果、脳内エネルギーが消耗した状態になるのです。脳のエネルギーは使うともったいないので、なるべく出し惜しみしましょう!「白でも黒でも別に損するわけじゃなし」と思ったら、「ま、いいか!」くらいの性格のほうが生きやすく、ストレスを溜めにくいのです。
曖昧さに対する耐性を強化することも大切ですね。

 

④ある日突然に
昨日まで普通に主婦だったのに救急車で運ばれて、トイレに行くこともできないほど心も体も動かなくなったといううつ病の方を見たことがあります。うつ病に限らず、病気が診断されるときはよくダムに例えられます。ダムをぎりぎり越さないところまで水位が上昇していても、検査結果は正常範囲ですよね。それがほんの1ミリ越えてしまうだけでも、水がダムから流れ落ちます。その結果、検査データは異常となり、病気と診断されます。
日常的によく「ストレス」という言葉を使いますが、ストレスは自覚できないものだと定義されていることを知っておきましょう。

 

⑤脳は心と体の司令塔
心と体に指令を出すところは脳です。脳からの指令で、心臓や各種の臓器が働き、体を動かし、心や気持ち・気分を作っています。うつ病のような気分を含めた障害も、脳機能の障害だということです。脳のエネルギーが不足すると、体はもちろん心や気分の調整もできなくなってしまいます。

 

①によって脳の機能を調整し、②のように脳に栄養を届けて機能を円滑にし、③のように脳のエネルギーは出し惜しみして、④のように日ごろから心と体の疲労が続かないように心がけ、⑤のように司令塔が正常な指令をきちんと出せるようにしておきましょう。

 

それでも身近な人がもしうつ病になったら

うつ病の人に対応するための3原則があります。


①病気を知る
②叱咤激励しない
③無理強いしない

良かれと思ったことでも、感情・情動的に対象に気を遣わせる=脳内エネルギーの消耗を促進させることに繋がってしまうので、やめておきましょうという事ですね。
例え午前中いっぱいダラダラしていても、脳のエネルギーを蓄えていること・脳がまだ覚醒していないのだと理解しましょう。朝の散歩や気分転換など、良かれと思ったことでも控える事が大切です。

 

うつ病という病気の持つ特徴をしっかり理解し、愛情をもって、時には淡々と、接してあげましょう。

 

 

感想

浅尾 真由美様

Q:一番印象に残った内容は何ですか?

A:「決意⇒捨てる」その後に湧いてきたものが”希望”だという・・・失うのでなく自分の意思と覚悟で捨てるという能動的な動きであることが重要なのかもしれません。

Q:うつ病に対しての新しい学び・気づきはありましたか?それは何ですか?

A:イメージとして過度の負のストレスがうつ病を引き起こすと思っていましたが、充実しすぎもきっかけになるのですね。ビックリでした。

 

榧 みどり様

Q:一番印象に残った内容は何ですか?

A:仕事も楽しい。日常生活も困った事がない。夫婦も仲良く、悩みのない人でもウツになるんだと聴いてビックリしました。

Q:うつ病に対しての新しい学び・気づきはありましたか?それは何ですか?

A:いつ自分がなるかもしれないと不安に思うのではないですが、いつなっても不思議ではないんだと感じました。

 

柳田 啓様

Q:一番印象に残った内容は何ですか?

A:ある日突然発症するといううつ病の恐さ、対応の難しさ。

Q:うつ病に対しての新しい学び・気づきはありましたか?それは何ですか?

A:具体的にどう対応すればいいか分かった。一方で、無意識に悪化させる行動のこわさ。

精考会支部大阪事務局がリニューアルされました。

本会は、精神保健医療の在宅を促進するために、尊い気持ちで集まった同志による無報酬の社会活動団体です。そのため民主的に一部への負担を少なくするために2年ごとに事務局を見直しています。

支部大阪は、2013年9月から始まり、2014年に一度事務局をリニューアルいたしました。その後、2016年は、諸事情によりほとんど活動ができずにいました。今年、2017月7日に約1年ぶりに第23回支部大阪大会を開催でき、10月27日に第24回大会を開催できました。写真はこの時の新事務局のメンバーです。

事務局には、病院を顧客とする業者の方、精神障碍者就労支援を担当する職員、元精神保健領域の訪問看護師、障害児のシッター業務の代表、東洋医学者など、関連する人々の熱い思いの集結で結成されました。なんと力強いことでしょう!
これからも地域のため、社会のために頑張って行きます。その頑張りが、本当に社会貢献になるように様々な人々のお力で学びながら精考会という組織を構築してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

第23回 精考会支部大阪大会 報告

平成29年7月7日(金)に第23回 精考会支部大阪大会を開催いたしました。

 

この度は、精神に障害を持たれている方のお宅へ訪問診療をされている 三島 光泰氏 をお呼びし、ご講演をしていただきました。

三島氏には、先日開催された 第4回 精考会支部岡山大会でも講師としてお越し頂いており、今回の講演は2度目となります。

 

テーマは「精神科病院と訪問診療 それぞれの違いや当事者との関わり方について」

 

 


感想とまとめ

精考会主宰 秋田 啓次

これまで当精考会は、精神障碍者に対する地域の偏見や危険視思想というのは『精神を患う』ということを知らないが故に起こっていることなのではと感じ、それらを払しょくすることを目的とし、開催して参りました。

 

しかし今回の報告を聴き、当事者とそのご家族の持つ『セルフ・スティグマ』が、回復や自立を阻害していることを再確認しました。

 
スティグマとは,社会的に個人に押し付けられた負の表象・烙印,マイナスのレッテルです。元来,奴隷や犯罪者であることを示す刺青などの肉体的刻印のことを指す言葉であったそうです。

セルフ・スティグマとは、このような感情を当事者やそのご家族自身がもつ、劣等感のようなものです。そのため自身で社会的不利な状況を予見し、一歩を踏み出せないでいる状態のことを示します。

 
私は、精神病者と精神障碍者という表現をきちんと使い分けているかどうか自問しました。セルフ・スティグマによって、自立を自身で阻んでいてしまっている状態を精神障害と表現するのかもしれません。

 
今回の報告に共通することは、訪問診療によって支援されたすべての困りごとが、病気の事ではないということだと思いました。病気による反応のためにできなくなったことや、発生した問題に対し、訪問看護師は寄り添い、解決のための自立を促していました。
要するに解決するのはあくまでも自分自身であり、専門家に寄り添われたことによりセルフ・スティグマを乗越える力ができた結果だと感じました。

 
この報告は精神障碍者のみならず、日常で心が折れそうなときにとても役立つと感じます。事例から学べる名言も沢山埋もれていました。
本当に有意義でした。
これからもこのような貴重な報告を、できるだけ多くの人に聴いていただくため、頑張らなければと思いました。

 

次の大阪大会は10月を予定しています。
10月もこのような貴重な事例報告や体験発表をやっていきたいと思っています。

 


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